トレーナーとしての挑戦

2010年1月22日に「WONDERLAND INTERVIEW」(現在サイトは閉鎖)に掲載された院長の吉野 巨人のインタビュー記事です。

デフリンピックのバスケットボール日本代表専属トレーナー

デフリンピック(Deaflympic Games)は、4年に1度開かれる聴覚障害者のための国際大会。大正13(1924)年に第1回大会がフランスで開かれ、その後、昭和24(1949)年には冬季大会もオーストリアで開催され、障害者スポーツとしては、最古の歴史を誇る。

当初は、国際ろう者競技大会という名称だったが、昭和42(1967)年に世界ろう者競技大会(World Games of the Deaf)に名称変更、さらにIOC(国際オリンピック委員会)の承認を得て、2001年よりデフリンピックとなった。 ちなみに、IOCが「オリンピック」という名称の使用を許可しているのは、デフリンピック(Deaflympics)のほかに、パラリンピック(Paralympics)、スペシャルオリンピックス
(Special Olympics)だけである。

第21回デフリンピックは、平成21(2009)年9月に台湾の台北市で開かれ、陸上、水泳、バレーボール、バスケットボール、卓球、バドミントン、ボーリングなど20競技のうち、日本選手は12競技に参加し、金5、銀6、銅9のメダルを獲得している。

厚い世界の壁

吉野さんは、バスケットボール日本代表のトレーナーとして、この大会に初参加した。

「聴覚障害をもった大学時代の友人がデフバスケットボール日本代表候補に選ばれたことがきっかけです。代表チームが専属のトレーナーを探していると聞き、早速、応募、採用されました」

吉野さんは体育大学を卒業後、福祉関係の仕事に就き、介護を中心に、併せて老人へ運動を教えている。しかし、患者の多様な要求に応えるためには、まだまだ力不足、専門の知識が必要と感じ、3年間、働きながら夜間の専門学校に通って柔道整復師の資格を取得した。柔道整復師は、骨折、脱臼、捻挫、打ち身、筋違いなどに対して、応急の回復施術を行うことができるが、柔道整復理論はもちろんのこと、解剖学、生理学、病理学、衛生学などの知識を身につけているため、日本代表チームにとっては、最高のトレーナーとめぐり会えたといえる。

大会には20チームが参加。4チームずつ5つのブロックに分かれて予選リーグを戦い、勝ち点によって決勝トーナメントに進むことができる。日本は、ギリシア、ドイツ、香港と同じブロックに入った。初戦のドイツに勝てば、決勝トーナメントに進出する可能性はかなり高くなる。
トレーナーの仕事は、選手の体調管理はもとより、ケガの対応、テーピング、メンタルケアと予想以上に多い。初めての体験だったが、吉野さんはそれらを必死になってこなしていった。
予選リーグ突破のためには、どうしても勝たなければならないドイツ戦だったが、接戦の末、敗れてしまった。香港には勝ったものの、ギリシアには歯が立たず、結局、予選リーグ敗退。悔しい結果となってしまった。

「世界の壁が厚いことを実感しました。選手はベストを尽くし、よく戦ったと思います。しかし、トレーナーとして十分なことができたかというと、これは反省点も多い。いちばんの問題はコミュニケーション不足。難聴の選手たちとのコミュニケーション手段は、まず手話です。専属トレーナーに決まってから大会まで、ほとんど日にちがなく、にわか仕込みの手話では、当然のことながら通用しません。筆談などで一生懸命にコミュニケーションをとるのですが、やはり細かいニュアンスまでは伝わりません。トレーナーに限らず、介護でも、柔道整復師としての仕事でも、コミュニケーションは大切。難聴の選手たちとの交流は、すばらしい経験となりました」

2年後には、イタリアでデフバスケットボールの世界大会があり、専属トレーナーとして参加。また、4年後のデフリンピックアテネ大会にも参加することになっている。それまでに手話をマスターし、選手とのコミュニケーションがうまく取れるようにしたいという。当面の目標は予選リーグ突破、将来的には世界の頂点を目指すようなチームのために、吉野さんの戦いが始まった。

接骨院の経営

吉野さんのもうひとつの大きな夢は、接骨院を中心に、デイサービス、リハビリ、スポーツ選手のケアなども行う施設の経営だ。さらに、デフバスケットボールの監督からは、聴覚障害をもったスポーツ選手たちのケアができる場所にしてほしいという要望も出ている。

柔道整復師の資格だけでは、これらの要望にすべて応えることができない。そのために、ケアマネジャーの資格も取得し、経営や法律の勉強もしなければならない。やらなければならないことはたくさんある。

「テーピングひとつで、選手が見違えるような動きをはじめたり、応急の回復施術で、痛みが和らぎ、歩くことができるようになったり、そうした患者さんの喜ぶ顔を見ることが生きがいなのかもしれません。デフバスケットボールのトレーナーはいい経験でした。介護やリハビリなどにどんどん生かしていこうと思っています」
吉野さんは、中学、高校、大学と野球を続けてきた。名門高校で甲子園を目指したが、残念ながら夢は叶わなかった。しかし、大学では、全国制覇を成し遂げた。
いま、デフバスケットボール日本代表の専属トレーナーと接骨院の経営、この2つの大きな夢が叶う日は、一歩一歩、間違いなく近づいている。

デフバスケット

デフバスケットボール(deaf basketball)は、ろう者を対象とするバスケットボールのこと。試合時間は前半15分、後半15分、合計30分。それ以外は通常のバスケットボールと同じルール。デフリンピックには、男子は2001年から3大会連続で、女子は2005年から2大会連続出場している。

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